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近江の麻をたずねて

 

 

滋賀県・東近江は麻織物の盛んな土地です。
近江上布や秦荘紬など伝統的な織物は、今なおこの地で職人の手によって脈々と受け継がれています。

伊吹山脈・鈴鹿山脈に抱かれた東近江市・愛荘町など、湖東地方は湿潤な風に恵まれ、霧や雨、琵琶湖につながる川からの自然の恩恵を充分に受けることができる土地です。
麻生地を織る際には、水分が欠かせません。麻は湿度がないと切れやすく、水分を含むと柔らかくしなり、織機にて織りやすくなります。このような天然の恵みがあったからこそ、この土地で麻織物が発展してきたのです。

霧の多い湖東、訪れた当日も厚い霧が山々の頂を覆っていました。
また、この地域では湧水が多くあります。山脈の清らかな天然水を、ものづくりに生かすことができます。
湿潤な風土に恵まれたからこそ、麻織物が発展してきました。

   

楽居布の生地を手掛けてくださっている近江上布の手織り工房に伺い、伝統ある滋賀麻について様々なことを教えていただきました。
四季折々の花が楽しめる庭園が併設されたこの場所では、麻織物の手織工房や藍染め工房も併設されており、手織り文化を系統的に学ぶことができます。また入り口には、絹糸の源の蚕が飼われており、麻の源の苧麻も育てられていました。

    

   

【近江上布の製作工程】

1、図案を絣柄に合わせて設計し(左)糸割に沿って羽定規を作成する(右)
緻密な計算力と豊かな想像力が要求される作業です。 

2、経糸の準備をする。
整経された経糸は糸束ごとに竿枠掛けし羽定規を当てて墨印を付ける。墨印を付けたところに櫛と呼ばれる道具を用いて絣を染め付ける。   

3、絣乗せ、割り込み、唐巻き、経つなぎ
染色された地糸・絣糸ごとに整経台に乗せておおまかに柄を合わせる。次に割り込み台にて柄を細かく合わせる。

4、緯糸の準備・綛染め・綛繰り絣づくり・くり・綛染め・綛繰り絣づくり・繰り分け・管巻き
緯糸の準備は経糸の準備と同様におこない、繰り分けて管に巻いておく。

5、製織・織り付け・織り
織り付け・織りを行う。準備した経糸と緯糸で機にかける。ますは織り付けにて機の調子を整えて織り上げる。

6、仕上げ(近江上布)
近江上布は近江独特の仕上げ方法「ちぢみ加工」に仕上げる。デコボコとしたシワをつけることによりその凹凸が生地と肌との間に風を通し、涼しさを感じる上布に仕上がる。

7、仕上げ(秦荘紬)
秦荘紬は絹織物の仕上げ方法である湯通しをすることで、ふっくらとした真綿の風合いに仕上がる。

 

(麻の製作工程に関しては、金剛苑様のホームページより引用させていただきました。)

 

 

 

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麻素材はとても心地よいものです。

汗は吸収してくれるし、乾きやすい。 それは麻糸は中空糸※であるため接触冷感を有し、また植物繊維の中で一番熱伝導率が高いという性質を持つ繊維だからです。



古道具屋や蚤の市を覗いてみても、麻素材の日本の着物やヨーロッパのアンティーク生地を見かけることが多くあります。その都度、麻の独特の風合いや、織りの美しさに心奪われてしまいます。 麻は洗いを重ねるごとに風合いは柔らかみを増します。丁寧に長く使い続けられるものです。また人々が生活を営むための道具として、船を港にくくりつけておく縄や魚を捕るための網、コーヒー豆を入れて運ぶ袋など、麻は世界各国で多用されてきました。それほど麻のは堅強で、永く使うことができる生地だったということが伺えます。

さらに多彩な麻素材の中でも、「近江ちぢみ」は古くから滋賀県の伝統的な麻織物として受け継がれてきました。数少ない伝統工芸士の高い技術で生地をもみほぐし麻糸の撚りをほぐして自然なシボを出した「近江ちぢみ」は、滋賀県特有の織物です。職人が手もみで丹念に仕上げることによってふんわりと優しい風合いが生まれ、ふっくら丸みのある生地となります。 生地にシボが生じるため、近江ちぢみの洋服は肌にあたる部分がほかの素材より少なく、そのためにほかの麻に比べても風通しがよいものになります。また生地の凹凸はしわになりにくく、またアイロンいらずの素材としてとても有能な生地であります。


楽居布では、上質なリネンやラミーの麻糸を用いたアイテムをたくさんご紹介しております。近江の麻の表情を存分に楽しんでいただけるようなウエアは楽居布の定番アイテムとしてブランド発足当時よりご紹介しており、皆様にご好評をいただいております。


※中空糸・・・繊維の中部が空洞になっている糸、麻の特徴です。